企業を取り巻く市場環境は大きく変化しており、主に以下のようなものがあります。
① 消費者ニーズの多様化、高度化
市場の成熟化やライフスタイルの個性化により消費者のニーズはますます多様化、高度化し、インターネットやSNSの普及で消費行動も変化しており、このような消費者への対応が課題になっています。
② グローバル化の進展
インターネットの普及や国際物流の発達、貿易自由化、新興国や途上国の経済発展などにより国境を越えてヒト、モノ、カネ、情報が速いスピードで行き来するようになり、企業は国内だけではなく海外企業との競争の激化、M&Aなどの連携、海外展開への対応が課題になっています。
③ ディジタルトランフォーメーション(DX)の本格化
ディジタル化とはひと言でいえば、あらゆるデータをコンピュータで処理できる情報にすることです。
音声やカメラの画像、テキスト等の言語データを一旦ディジタル化すれば情報をコンピュータで複製、加工、記憶等ができそれを人間が認識理解できるようにすることで活用範囲が一気に広がります。
人同士でだけではなく、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTという概念ができ、モノが持つ大量のデータをAIとよばれる高度な人間に近い認識処理手法で分析して推論や予測しロボットや自動化といったことに応用されようとしています。
このようにディジタル化の技術革新でこれまで解決できなかった課題や新しい価値を創造して事業を変革していくことがディジタルトランスフォーメーション(DX)です。
コロナ禍で日本のDXの遅れが顕在化しましたが、これから本格化していくことでしょう。
④ SDGs意識の高まり
SDGsとは「持続可能な開発目標」と呼ばれ、2015年に国連サミットで採択されました。そこで、地球規模の課題の解決に向けて、世界のあらゆる国、企業、人が2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットが示されました。
企業は利益を追求するだけではなく、地球環境に配慮しながら事業活動をするよう社会的責任(CSR)を強く求められるようになります。
そのため、限りある地球資源を意識し、CO2削減による地球温暖化対策、持続可能な循環型社会の実現に向け、リサイクルシステム、物流システム、廃棄物処理システムの構築、省エネ、安全安心、自然、健康志向に対応した資源の調達や製品、店舗づくりが課題になっています。
企業の戦略も、これまでの製品の一時的なヒットや薄利によるシェア獲得、規模に依る拡大戦略ではなくしっかりとした理念や価値観に基づく持続戦略に変えていく事が必要になるでしょう。
⑤ 社会の変化
日本は2008年をピークに人口減少社会に入り少子高齢化の進展雇用の流動化、働きすぎに対する是正、非正規雇用の増加、女性の社会進出などの社会変化が起きています。
特に生産年齢人口の減少はGDPを下げ日本経済への影響が懸念されています。その一方で世界人口は増え続け、6割強を占めるアジアの人口増加は顕著であり、今後は海外の人材、労働力確保への対応も課題になると考えられます。